膵臓移植の組織は脳死下において臓器の摘出を許す法律が定められた平成9年9月に移植関係学会合同委員会のもとに膵臓移植特別委員会が設置されたことに始まる。膵臓移植特別委員会は、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本移植学会、膵・膵島移植研究会から選出された委員で構成され、レシピエント適応基準、レシピエント登録手順、膵臓移植実施施設基準が設定され、母体となる各学会・研究会での承認を経て移植関係学会合同委員会に報告された。すでに決定されていたドナー適応基準、レシピエント選択基準を含め膵臓移植のルールがこの時点で出来上がった。
移植実施施設が募集され12の施設に適性があるとし、移植関係学会に報告承認された。なおこの際これら12移植実施施設は移植に際し該施設が他施設のスタッフと協力して移植を行うことで移植手術を全施設の共通の経験とし、移植の質を保持・向上させるとともに、移植手術の公開性を保つようにした。このために移植施設で移植手術の中心になる若手医師を構成員とする「膵臓移植実務者委員会」を作り、このメンバーによる「支援チーム」が各移植手術に参画する形をとった。
これらの組織作りを終了した段階で膵臓移植特別委員会はレシピエントの申請から移植ネットワークへの登録作業を行う事務的な部分を担当するとともに実務者委員会の活動を支える役割を持つ組織に衣替えし、「膵臓移植中央調整委員会」が発足した。膵臓移植は移植希望者を内科系の医師と、移植施設での外科系の医師による審査が必要であると考え、日本糖尿病学会、日本腎臓学会の代表をもって構成する「地域適応検討委員会」を移植ネットワークの各ブロックに設置した。またこれまでの検討結果を纏め、手術の実際やインフォームドコンセントの内容等も含めた「膵臓移植に関する実施要綱」が移植関係学会合同委員会と膵臓移植中央調整委員会の連名により1999年10月発刊された。現在は2001年3月の改訂版が配布されている。
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